タガネ
彫金をするためのもっとも代表的な道具が「タガネ」です。 「タガネ」は千差万別、多種多様であげればきりがない ほど存在します。以下でほんの一例を紹介しますが、ここに紹介する種類のものでもそれぞれ大きさ及び形状にバリエーションがあり、さらに無数の種類が存在します。現在、当方で所有する「タガネ」は約千本です。 (手前は大きさ比較のための500円玉)
毛彫りたがね
毛すじほどの細い線を彫る。 先端は七面体になっており、角度の付け方は微妙で研ぎ方が わるいと、まったく使いものにならなくなる。ハイスを 用いることが多い。写真のものは先々代の残したもので、 彫りの味わいは格別なのだが、減るのがこわくて使えない。 新たに作るときの見本にしてる。
毛彫りタガネ
(曲面用)
飾り皿や茶たく等 すり鉢状になった面を彫るための「毛彫り」。先端が 曲げてある以外は普通の「毛彫り」と同一。
片切タガネ
「かたぎり」とよむ方もいるが、 「かたきり」のほうが正確。和筆風な彫りにもちいる。 「毛彫りタガネ」同様微妙な角度付けが必要で、やはり おもにハイスで作成する。写真のタガネも先々代のもので、 これも新規作成見本にしている。
ぼうずタガネ
「打ち出し肉彫り」に使用。 打面は細かい凹凸になっており、「荒し」を表現する。 炭素鋼。
靴型タガネ
「足タガネ」という方もいる。 先々代が「靴型」といってたので、ここでは 「靴型タガネ」と称す。「打ち出し肉彫り」の際、 通常の「ぼうずタガネ」で叩きにくい部位に使用する。 炭素鋼。
ぼうずタガネ
(特殊部位用)
「靴型タガネ」のさらに特異な部位用。 炭素鋼。
なめくりタガネ
「打ち出し肉彫り」の際、 模様のふちをきめるのに使用。 炭素鋼。
筋タガネ
先端に数本の線が 入れてあり、細かい線の集合体が彫れる。 炭素鋼。。
木タガネ
木製で金属タガネに よるキズを付けたくない時もちいる。 おおまかな形の修正等。
銅製タガネ
「布目象嵌」の際、 布目をつぶさない為に用いられることが多い。
超硬毛彫りタガネ
ハイスよりも さらに硬い、ハイテクな複合合金で作った 「毛彫り」。硬い分だけ磨耗しにくいので 長持ちする。反面、もろいので欠けやすく、 鉄よりも作るときの先端の自由度はおちる。 彫ったあとがツルツルピカピカになるので、 ジュエリー等にもちいられることが多く、 彫り自体の味わいはあまり得られない。